南会津 松倉山(1147.7m)、家老岳(1413.7m) 2013年3月10日

所要時間 6:20 七ヶ岳登山口駅−−6:28 踏切−−7:01 松倉山南西尾根末端−−8:10 1110m峰−−8:20 松倉山(休憩) 8:37−−8:57 1000m鞍部−−9:37 1040m鞍部−−9:46 1070m峰−−10:15 1172m峰−−11:08 家老岳 11:13−−11:40 1218m峰(休憩) 11:58−−12:25 林道−−13:02 踏切−−13:09 七ヶ岳登山口駅

場所福島県南会津郡南会津町(旧会津田島町)
年月日2013年3月10日 残雪期日帰り
天候晴後吹雪
山行種類残雪期の藪山
交通手段マイカー
駐車場雪がある時期は七ヶ岳登山口駅しか駐車場所無し
登山道の有無たぶん無し。ただし林道に家老岳の案内標識あり
籔の有無残雪期は無し
危険個所の有無1個所だけあり(痩せ尾根、露岩)
山頂の展望落葉した樹林を通して見える程度
コメント羽塩沢沿いの林道を歩いて時計回りに周回。昨日以上に高温から吹雪に変化。松倉山へは南西尾根を登る。雪少なく登りはスノーシューの出番なし。山頂は複数の目印あり。意外にも古い足跡あり。1070m峰と1098m峰は南側を巻いたが1070m峰は杉幼木植林で藪状態。てっぺんを通過した方が良かったかも。1098m峰は杉と唐松植林の境界を通過。次の1070m峰はアスナロ藪でおしまいは露岩で東を巻いた。この付近から天候が急変するも前進。以降は明るい落葉広葉樹林が続くが標高1300m付近で見えていた地面には藪皆無だったので、無雪期の方が楽だったかも。山頂到着時は濃いガスに覆われた。山頂部は広くガスられるとイヤらしい。山頂標識2つあり、新しい単独の足跡も。下山は1218m峰から北西尾根を考えていたが足跡も同じコース。山頂から1250mまで締って歩きやすい雪。その後は地面が出ている区間が多く、藪皆無。北斜面は雪が増えてつぼ足の先行者の苦労が見えた




七ヶ岳登山口駅。ここに駐車した  未除雪林道の踏切 
雪に覆われた林道を歩く。雪は締っていない  南西尾根手前の沢。橋は無く林道上を水が流れている 
松倉山南西尾根末端  尾根に乗る。赤松が多い 
露岩  雪は少なくスノーシューは不要 
1110m峰。背景は家老岳  松倉山へ続く尾根。ここも地面が出ていた 
 古い足跡(盛り上がった部分) 松倉山山頂。目印のみあり 
南に下り始める  東向きの尾根に向かう 
無事に尾根に乗った  松倉山を振り返る 
1030m肩への登り  1070m峰への登り 
1070m峰は登らず南を巻くことに  トラバースすると杉幼木帯に突入 
1098m峰のトラバースになると成木帯に  杉と唐松境界をトラバース 
 これから登る尾根 2つ目の1040m鞍部 
1070m峰への登り  1070m峰。アスナロが中心 
1070m峰南端は大岩。東側を巻いた  1172m峰へと登る 
 明るい落葉樹林が続く 標高1300m付近。まだ籔はないようだ 
天候が悪化、ガスに突入  山頂は近い 
家老岳山頂  山頂標識 
 文字が完全に消えたMWV標識 予想外に新しい足跡登場 
広い尾根を西に向かう 山頂近くの雪が割れたところ。籔は無さそうに見えるが 
雪庇登場  雪庇から南を見下ろす 
雪庇から南の展望。ガスの層から脱出
荒海山  雪庇部分ではつぼ足もスノーシューも同じ程度の沈み方 
標高1250mの平坦区間。雪庇が続く  標高1250m付近。西尾根を離れて北西尾根へ 
この尾根にも僅かながら目印あり  雪が消えた尾根を1218m肩へ向かう
標高1218m肩  北西へ下り始める 
こんな雪庇もある  尾根がバラけると雪が消えた場所も 
樹林を通して羽塩沢が見える  杉植林帯に突入 
唐松植林帯 尾根末端は近い
末端手前で右に下った 林道に出る
林道両脇の大岩が目印 付近にはこんな標識。夏道が存在する?
羽塩沢本流の渡渉。林道に橋は無い 下ってきた尾根
送電鉄塔 踏切から線路
 七ヶ岳登山口駅到着  


 以前、貝鳴山に登った時に家老岳が気になったが、今回登ってみることにした。ついでに近くにある松倉山も絡めてみることにする。というか、今回は気温が高く最悪の雪質が見込まれ、羽塩沢沿いの林道から羽塩沢源流部を周回する場合、最初に家老岳に登ると北向きの尾根を登ることになり、かなりの苦戦が予想された。また、天気予報では日中に寒冷前線の通過が見込まれ、天候が急変するとのこと。北向き尾根で時間がかかる家老岳にまず登るより、南向きの尾根で雪が消えていると予想される松倉山に先に登り、天候の状況や残存体力で家老岳に向かうか判断する方が得策と考えた。これなら天気が崩れる前に松倉山だけでも登れる確率が高まる。

 羽塩沢沿いの林道入口は分かりにくいが、国道を北上して七ヶ岳登山口駅へつながる2本の道を通過してすぐ次の右へ上がる道だった。すぐに人家があって除雪はそこまで。車を置く場所がないので駅前に置かせてもらう。幸い、無人駅で利用者は少なく、列車が到着する時に2,3台の迎えの車が来るだけで、端の方に駐車すれば迷惑はかからない。

 駅を出て林道までショートカットで雪原を横断、林道の踏切を越えたところでスノーシュー装着。今日は昨日以上に気温が高く雪は締りがなく、スノーシューでも常時2,3cm沈むし、場所によっては足首まで踏み抜く。昨日歩いた人の足跡だろうか、コンスタントに足首まで潜るつぼ足の足跡が延々と続いていた。

 松倉山への取り付きは、適度な傾斜が続き危険個所が無さそうな南西尾根を選択。尾根の両側は顕著な沢で区切られているのでたぶん尾根末端の場所は分かりやすいだろう。案の定、南西尾根西側の沢は深く切れ込んで林道上を流れていた。ここは橋は無いが水量は少なく簡単に渡渉。ここから尾根に取りつく。

 やや削り取られて法面気味だが、雪がついた斜面を斜めに登って尾根末端へ。赤松主体の樹林で藪、下草は無く歩きやすい。尾根の右端(東側)は雪が消えて歩きやすそうだがスノーシューを装着したままなので雪が付いた場所を選んで登っていく。尾根の幅が狭まると尾根上の雪はほぼ消えたため、面倒だがスノーシューを脱いでザックにくくりつける。今シーズン初めてスノーシューを背負ったが重い。でも足は格段に軽くなり、雪の少ない尾根をぐんぐん登る。締まってない雪の上を歩くよりずっとスピードアップだ。

 途中、尾根上に露岩が現れるが尾根が痩せているわけではないので簡単に巻ける。その後は単調な尾根を延々と登るだけ。標高が上がっても雪が少なく、尾根の右側には付いていても左側は溶けている区間が多く、スノーシューを装着する必要はない。いつの間にか暖かい風から熱い風に変わり、林道を歩いていた時よりも格段に暑くなった。温度計を見ると14℃! こりゃ今日で雪解けがかなり進むだろう。長袖シャツでも暑いのでTシャツになり手袋も脱いだ。手袋無しの山歩きは今年に入って初めてだ。

 初めて傾斜が緩む1110m峰に到着。少し開けた場所で、近くの立ち木にはワイヤーロープが巻かれ、木の幹に飲み込まれていた。山頂に至る稜線も左側は雪が消えているので遠慮なく利用させてもらう。

 松倉山山頂は細長い山頂で、木にいくつか目印が巻かれているだけで山頂標識は無かった。三角点は雪の下。積雪量は50cm程度であろうか。落葉樹林に囲まれているので展望良好とはいかないが、落葉している今の時期なら向かい側の家老岳は見える。西風が少しあるので風を避けられるよう少し下がった場所で休憩。まだ天候は快晴、雲が湧いてくる気配は無いので計画続行、家老岳を目指すことにした。でもこの気温の高さだから家老岳北斜面の登りは雪質を考えると相当きついだろう。

 山頂から南下、一面の雪原に変わるが日当たりがいい影響かつぼ足でもあまり沈まないのでそのまま進む。家老岳へと続く尾根は複雑に屈曲しており、このまま直進するわけにはいかない。途中で東に進路変更の必要がある。幸い、この天気で落葉している樹林の中なのである程度先まで見通すことが可能で、東の方向にそれらしき地形を発見、斜面を下り始める。しかしこの先はつぼ足では膝まで潜り、下りとは言え疲れるのでスノーシュー装着。たちまち威力を発揮して2,3cmの沈み込みで済むようになる。ただ、下りの傾斜が急なのでスノーシューは苦手な場面で、立ち木に掴まりながら下っていく。やがて明瞭な尾根に達し一安心。

 尾根は右に曲がり、廊下のように続く尾根上を辿る。高度を上げて久しぶりに地面が出た1030m肩で今度は左に。ただ、ここは地形に沿って歩けばいいので迷うことは無い。1070m峰と1098m峰は面倒なので南を巻くことにして、1070m峰の登りにかかるところで右手の斜面に入る。最初は快調だったがやがて杉幼木植林帯に突入、背が低く地面付近から横に枝を張り出しているので通常の藪より始末が悪い。幸い、まだ花粉を飛ばすまで成長していないので中を歩けるが、もっと成長したらこの時期は歩けなくなる。できるだけ隙間を探して細かいアップダウンを繰り返したので、もしかしたら稜線を行っても同じだったかも。稜線上はカラマツ植林帯で日当たりもいいので、雪質はそこそこ期待できたかもしれない。

 そのまま巻き続けて1040m鞍部よりも下部を通過、やっと杉幼木帯が終わってもう少し背の高い杉樹林に入って歩きやすくなる。しかし徐々に斜面の傾斜がきつくなり歩きにくくなってきたので標高を上げ、傾斜が緩む杉とカラマツの境界を歩いた。この辺はカモシカの足跡が多い。

 ようやくピークを巻き終わって1040m鞍部に降り立つ。この付近はカラマツ植林で明るい。1070m峰へ登ると昨日のようなアスナロが登場、尾根が痩せて密生したアスナロの中を進む。ピークの最後は大きな露岩で尾根上を行くのは不可能だが、雰囲気でそれを察することができ、獣の足跡に導かれて左に巻いて通過。振り返ると高さ5mくらいの岩が立ちふさがっていた。これを越えると再び明るい落葉樹林に変わった。

 この頃から徐々に天気が怪しくなってきた。上空は晴れているが北側を見ると霞がかかったように白っぽく見え、その後は太陽が隠れてしまった。標高が上がると雲の中に突入したようでガスって視界が低下、下りを考えると先が見えなくなるのはよろしくない。また、寒冷前線の通過のはずなので雨や雪の可能性もあり、あまりのんびりできない。気温は急激に低下し、家老岳に到着するころには0℃まで落ちた。また、北寄りの風が強まった。

 家老岳への登りの尾根も概ね明るい落葉辞林が続き、尾根右側に僅かに地面が出た場所もあり、標高1300m付近でも藪が見られなかった。この状況なら無雪期の方が楽だったかも。でも今回は杉花粉も考慮しての場所選定なので仕方ない。

 やがて残雪が覆うようになり、ガスって先が見えない中を登っていく。高度が上がるに従って雪質は良くなり、膝まで踏み抜くようなことは無くなってきたのは助かる。ただ、ガスで先の様子が見えないので山頂までの距離が読めない。高度計だけが頼りだ。

 大きな雪庇を左に見ながら登っていくと傾斜が緩んで平坦でかなり広い山頂部に到着。一面積雪なので三角点を探すのは不可能、山頂標識がなければGPSの電源を入れて山頂位置を確認する必要があったが、2つの山頂標識が出迎えてくれた。片方は黒羽山の会、一つは完全に文字が消えたMWV標識だ。昨日の黒滝股山に引き続きの目撃だ。

 山頂標識はあっても不思議ではなかったが、カモシカではなく人間の新しい足跡があったのには驚いた。エッジの鋭さからして今日のもではなく昨日のものだろう。山頂から2方向に足跡が伸びているが、どんなルートで登ってきたのだろか。こんな山に登るのだから藪山愛好家なのだろう。

 松倉山から休憩無しで歩いたのでそろそろ休みたいところだが、この天候ではさらに悪化して吹雪になる可能性もあり、安全地帯まで下ってから休むことにして写真だけ撮影して山頂を後にする。先人の足跡ルートが私が考えているルートと同じとは限らないので、方位磁石を出して西を確認して出発。山頂付近は地形がなだらか過ぎて今のようにガスって視界が低下している時は磁石が頼りだ。

 西に進むと先人の足跡が続いていた。常識的に考えればこちらから登ってくるのが普通だろうし。1人の往復分の足跡でワカンやスノーシューではなくつぼ足であった。でもこの稜線上は背の高い明るい落葉樹林で日当たりがいいことが影響しているようで、つぼ足でも2,3cmしか沈んでいない。私はスノーシューを履いたままだが沈む量はつぼ足と変わらない。これは今日の方が気温が高くて雪の締りがないことを意味している。

 この西尾根は単純な地形で太いため、まずは1310mの屈曲点までは安心して歩ける。南側が切れ落ちた急斜面になると雪庇が登場、同時にガスの層から抜け出した。このまま天気が回復すればいいのだが。ガスを抜けたので視界が広がり、落葉樹林を通して先が見えるようになったため、1310m屈曲点も先につながるなだらかな稜線を確認して進めたので楽だった。ただし、足跡もそちらに続いていた。どこまで同じルートだろうか?

 1300mの平坦な尾根も雪庇が発達、晴れていれば気持ちがいい場所だろう。1300m肩で西尾根を離れて北西尾根に入るが、地形的には西尾根の方が枝尾根っぽく分岐するので自然に歩いていれば北西尾根に引き込まれる。目印は北西尾根、西尾根両方に付いていて、どちらからも登られているようだ。

 北西尾根に入ると雪が消えて地面が出た部分が多くなるが、藪は皆無で無雪期でもここまでは藪漕ぎ無しで登れるのが判明。やっぱ無雪期の方が楽できそうだ。1218m峰で休憩。風は冷たく強いが天候は回復傾向で太陽も顔を覗かせるようになった。赤松の根元の日向に座って昼飯。足跡はまだ続いており、常識的に考えればこのまま北西尾根末端へと続いているのだろう。

 出発してしばしは尾根が明瞭で雪と地面の境界を下ったり雪庇の上を歩いたりしたが、標高1100mを切って傾斜がきつい広い斜面に変わると雪が消えて、落葉した自然林の中を下っていく。下には雪が付いた斜面が見えているのでスノーシューは履いたままだが、傾斜があるのでスノーシューのままではちょっときつい。立ち木に掴まりながら慎重に下っていく。尾根がバラけているので尾根中心がどこなのか不明だが、適当に下っても必ず林道に出るし、落葉樹林で先が見えるので尾根が細くなり始めたらそこに向かうことも難しくはない。

 やがて地面が積雪に覆われるようになり、広い尾根なのに先人の足跡とほぼ同一ルートを下ってきたようで先人の足跡が現れる。つぼ足では潜っているがスノーシューは快適だ。背の低い杉植林帯に入るともっと雪質が悪化するが、スノーシューだと踏み抜きはない。ただし雪は湿って重いので足は軽くないが。

 尾根が明瞭化すると林道も近い。尾根末端まで行ってもよかったが、足跡が途中から右手の斜面を下っていたので理由があるのだろうとそれに従った。ここも急斜面で木に掴まって下り、林道に降りた。林道の両側に大きな岩が門のように立った場所で分かりやすい。ほんの少し林道を下ると家老岳の標識が登場、夏道があるのだろうか、あるとしたらどんなルート取りだろうか。標識を見た感じではまだ林道を奥まで歩くような雰囲気だった。

 ここまで来ればあとは駅まで歩くだけ。林道が羽塩沢を渡る場所は橋があるかと思ったら何もなく、林道の上を水が流れていた。微妙な水量と勢いで、林道上を登山靴で歩くと濡れてしまいそうで、少し上流側の飛び石で渡った。今日は気温が高く雪解け水が多いと思われるので、たぶん通常状態でも渡渉可能だろう。

 林道を歩いていると雪が舞い始め、振り返ると稜線は雪の中に煙っていた。いいタイミングで降りてきたようだ。天候は不安定で日が当たったり雪が舞ったりと忙しい。往路同様林道の雪質は悪く、スノーシューを脱ぐわけにはいかなかった。

 踏切を渡って雪原をショートカットし、七ヶ岳登山口駅に到着した。

 

2000m未満山行記録リストに戻る

 

ホームページトップに戻る